マンション選びのポイントをインテリアから考えます
これから買うマンションで、ぼんやりと素敵なお部屋づくりを考えている方、
新築、中古どちらも、マンションを選ぶとき
インテリアデザイナーの私からお伝えしたい大事なポイントがあります。
それは 壁 です。
チェックしている方は少ないか
知っていても大事さを知らない方が多いのです。
2つの図面を見てください。
![](https://i0.wp.com/entredeux.net/wp-content/uploads/2021/07/plan01.jpg?resize=353%2C488&ssl=1)
![](https://i0.wp.com/entredeux.net/wp-content/uploads/2021/07/plan02.jpg?resize=304%2C488&ssl=1)
1枚目の壁に白い部分があるほうをA、2枚目のないほうをB
Aはスムーズにできるのに
Bはできなかったり、想像以上に費用がかかるということがおこりがち
それはこんなことです。
・壁に絵画やオブジェを飾る
・テレビを壁掛けにする
![](https://i0.wp.com/entredeux.net/wp-content/uploads/2021/07/re-work-02-750x469-1.jpeg?resize=750%2C469&ssl=1)
・棚を取り付ける
![](https://i0.wp.com/entredeux.net/wp-content/uploads/2021/07/hulsta.jpg?resize=700%2C490&ssl=1)
・大きなタイルや天然石を貼る
![](https://i0.wp.com/entredeux.net/wp-content/uploads/2021/07/azabu.jpg?resize=433%2C650&ssl=1)
などなど。
条件ややり方次第でできることはありますが、
2つの住戸で違うのは明らか。
Bの壁が困る理由は、
- 壁でものを固定できないこと
しかも、その壁がインテリアにとって大事ということ
では、最初の「壁で固定ができない」ということについて
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
マンション特有の決まりごとがあるからです。
マンションには、お隣との壁や外壁はみんなのもの、家の内側は所有者のもの、という区別があります。
みんなの共用の壁は、中低層マンションなら主にコンクリート、タワーマンションだと家の中の壁と同じような部材でつくられています。
見た目には壁紙などで仕上がっていて判断がつきませんが、
共用壁は、勝手に傷つける行為をしてはならないと決まっています。
なぜなら構造や火災に対して大事な壁だから
何かを固定するためにビスを打つことは、
ほとんどのマンションでNG、壁を傷つける行為とみなされます。
これでは困るということで、
室内側にビスを打ってもいい壁をもう一層加えている
これがAです。
「下地壁」といいます。
これがあると、壁でものを支えられるので、上に挙げたようなことができるようになります。
あるかないかは、マンションによって違ったり
同じマンションでもある部屋とない部屋があったりします。
ないからといって支障がないこともありますが、
困るケース、それがこれからお伝えする
「インテリアにとって大事な壁」の場合です。
上の2つのリビングダイニングは、どちらも部屋に入ったとき、視線が向かう先にこの壁があります。
つまり、この壁は家の顔になる
この部屋のインテリアにとって大事な壁なんです。
ちょっと飛躍しますが、わかりやすい例として
ロンドンのインテリア写真をお見せしますね。
![](https://i0.wp.com/entredeux.net/wp-content/uploads/2021/07/kitkemp01.jpg?resize=700%2C525&ssl=1)
私の大好きなKit Kempさんがデザインした
住宅ではなくプチホテルの一角ですが、部屋に入って目に入ってくる景色がこちらです。
置いてある家具や小物も大変目を引く可愛らしさですが、
奥に表情豊かな壁があって、目に入ってくる景色が印象深くなっています。
逆に、壁に何もなかったら、
ソファやラグがどんなに可愛くても、印象が半減すると思いませんか。
マンションの話に戻りましょう。
もちろん壁にビスが打てないとなれば、
できる方法でインテリアデザイナーはあれこれ考えます。
でも、決まりごとは変えられませんので
ビスが打てる方が間違いなく、格段に幅が広がります。
だから、これからマンションを買って、ぼんやりと素敵なお部屋での暮らしを考えていたら
ぜひ気にしてほしいです。
さて,どうやって見分けるの?
ひとつは不動産会社に聞いてみる。
または、上のように詳細な図面があれば、
共用壁の内側に、もうひとつ壁のラインが描きこまれているので、見てわかります。
新築や比較的新しいマンションならこれでわかると思います。
ただし、このラインの幅が狭いと、ピンが刺せる石膏ボードはあるのですが、
重いものに耐えられる下地はない可能性があります。
築年数が経ったマンションでは、下地壁がないことのほうが多いので、リフォームを考えているなら、その際に作っておくといいです。
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マンションを購入するとなると、
立地、価格、広さ、周辺環境、
次に、間取り、設備
中古なら築年数、管理状態
他に、ローンのこと、家族のこと、今の家のこと・・・
考えることがたくさん
どんなインテリアで暮らそうかなんて
色々落ち着いてから考え始める方が多いと思います。
私がご相談いただくのもこのタイミングです。
早い方でも物件契約が終わってから
もしくはお住まいになって何年か経ってから
イニシャルで下地壁を入れることは、建設コストを上げ、物件価格に影響する
売主買主ともに、必ずしもいいこととは限りません。
インテリアに興味がなければスルーしちゃっていいことだと思います。
でも長く住むことを考えていたら
インテリアデザイナーとして、どうしてもお伝えしたいのは
買う前にその先の暮らしを少しイメージしてほしい
だから、知っておいてくださいね。