マンション選びのポイントをインテリアから考えます

これから買うマンションで、ぼんやりと素敵なお部屋づくりを考えている方、
新築、中古どちらも、マンションを選ぶとき
インテリアデザイナーの私からお伝えしたい大事なポイントがあります。


それは 壁 です。

チェックしている方は少ないか
知っていても大事さを知らない方が多いのです。

2つの図面を見てください。

1枚目の壁に白い部分があるほうをA、2枚目のないほうをB

Aはスムーズにできるのに
Bはできなかったり、想像以上に費用がかかるということがおこりがち

それはこんなことです。

・壁に絵画やオブジェを飾る

・テレビを壁掛けにする

引用元:平田タイル

・棚を取り付ける

引用元:ヒュルスタジャパン

・大きなタイルや天然石を貼る

などなど。
条件ややり方次第でできることはありますが、
2つの住戸で違うのは明らか。

Bの壁が困る理由は、

  • 壁でものを固定できないこと
    しかも、その壁がインテリアにとって大事ということ

では、最初の「壁で固定ができない」ということについて

ご存知の方もいらっしゃると思いますが、
マンション特有の決まりごとがあるからです。

マンションには、お隣との壁や外壁はみんなのもの、家の内側は所有者のもの、という区別があります。
みんなの共用の壁は、中低層マンションなら主にコンクリート、タワーマンションだと家の中の壁と同じような部材でつくられています。

見た目には壁紙などで仕上がっていて判断がつきませんが、
共用壁は、勝手に傷つける行為をしてはならないと決まっています。

なぜなら構造や火災に対して大事な壁だから

何かを固定するためにビスを打つことは、
ほとんどのマンションでNG、壁を傷つける行為とみなされます。

これでは困るということで、
室内側にビスを打ってもいい壁をもう一層加えている
これがAです。

「下地壁」といいます。

これがあると、壁でものを支えられるので、上に挙げたようなことができるようになります。

あるかないかは、マンションによって違ったり
同じマンションでもある部屋とない部屋があったりします。

ないからといって支障がないこともありますが、

困るケース、それがこれからお伝えする
「インテリアにとって大事な壁」の場合です。

上の2つのリビングダイニングは、どちらも部屋に入ったとき、視線が向かう先にこの壁があります。

つまり、この壁は家の顔になる
この部屋のインテリアにとって大事な壁なんです。

ちょっと飛躍しますが、わかりやすい例として
ロンドンのインテリア写真をお見せしますね。

私の大好きなKit Kempさんがデザインした
住宅ではなくプチホテルの一角ですが、部屋に入って目に入ってくる景色がこちらです。

置いてある家具や小物も大変目を引く可愛らしさですが、
奥に表情豊かな壁があって、目に入ってくる景色が印象深くなっています。
逆に、壁に何もなかったら、
ソファやラグがどんなに可愛くても、印象が半減すると思いませんか。

マンションの話に戻りましょう。
もちろん壁にビスが打てないとなれば、
できる方法でインテリアデザイナーはあれこれ考えます。

でも、決まりごとは変えられませんので
ビスが打てる方が間違いなく、格段に幅が広がります。

だから、これからマンションを買って、ぼんやりと素敵なお部屋での暮らしを考えていたら
ぜひ気にしてほしいです。

さて,どうやって見分けるの?

ひとつは不動産会社に聞いてみる。
または、上のように詳細な図面があれば、
共用壁の内側に、もうひとつ壁のラインが描きこまれているので、見てわかります。

新築や比較的新しいマンションならこれでわかると思います。

ただし、このラインの幅が狭いと、ピンが刺せる石膏ボードはあるのですが、
重いものに耐えられる下地はない可能性があります。

築年数が経ったマンションでは、下地壁がないことのほうが多いので、リフォームを考えているなら、その際に作っておくといいです。

マンションを購入するとなると、
立地、価格、広さ、周辺環境、
次に、間取り、設備
中古なら築年数、管理状態
他に、ローンのこと、家族のこと、今の家のこと・・・

考えることがたくさん

どんなインテリアで暮らそうかなんて
色々落ち着いてから考え始める方が多いと思います。

私がご相談いただくのもこのタイミングです。
早い方でも物件契約が終わってから
もしくはお住まいになって何年か経ってから

イニシャルで下地壁を入れることは、建設コストを上げ、物件価格に影響する
売主買主ともに、必ずしもいいこととは限りません。
インテリアに興味がなければスルーしちゃっていいことだと思います。

でも長く住むことを考えていたら
インテリアデザイナーとして、どうしてもお伝えしたいのは
買う前にその先の暮らしを少しイメージしてほしい
だから、知っておいてくださいね。