歯科クリニック[事例紹介]
駅前から数分、大型商業施設が立ち並ぶ利便性のよい場所にある歯科クリニック。以前別荘リフォームをさせていただいたご縁で、今回ご実家であるこちらの改装をご依頼くださいました。
築40年の3階建て建物は、元院長だったお母様が1階を改装して開業なさいました。現在、ご子息ご息女も歯科医師になられ、こちらは長女のS先生が院長を引き継がれています。
1階と2階の一部がクリニック、残る2階と3階はご家族のプライベートにお使いでしたが、クリニックが手狭になり、患者さん、先生方の双方によりよい環境を整えるため、2階を全面的に改装することになりました。
新設したのは3部屋。
LDKは、カウンセリングルームとスタッフルームに、
洗面室は、プライベートのユーティリティルームになりました。
部屋ごとに使う人と目的が異なるため、どこで、誰が、何人で、いつ、どの頻度で、何をするか…といったことを、細かにヒアリングさせていただきました。プランの構築に大変重要だったと思います。
意匠的なデザインは私どもが主導して進めましたが、居住空間から医局に変わるところでは、設備の増強、備品の配置、プライバシーの管理など、医師であるお客様にもリクエストや提案をいただいて検討を重ねました。
Before
カウンセリングルーム
こちらでは、QOLや見た目にアプローチする特殊な治療のカウンセリングをおこないます。長男のK先生が専門でおられ、治療内容に相応しい、場の雰囲気を重視されていました。
既存クリニックとの視覚的な繋がりを求め、そちらにあった和の要素を取り入れつつ、無機質にならない素材や色選び、均整のとれた落ち着きあるデザインは、クリニックにまた新しい雰囲気を加えました。患者さんが納得して治療にあたっていただける場になったと思います。
窓まわりはできるだけ既存を活かしています。三方に木で額縁をつくり、応接に相応しい印象に一新。窓下収納も既存ですが、テレビボードをこれにあわせて新設して、既存に調和させています。
スタッフルーム
医師やスタッフのデスクワーク兼休憩室です。お母様とS先生を中心にプランを進めました。
クラシックでエレガントなデザインがお好きなこと、先生方に女性が多いこと、先生方にリラックスしてもらいたい、これらの要望をもとにカウンセリングルームとはガラリと気分を変えて、優雅で柔らかいテイストになりました。
既存キッチンのペールグリーンをどう調和させるかがカラースキムの要。濃淡や指し色を加えながら、既存の色も美しく映えています。
ユーティリティルーム
初期の段階から心が明るくなるような軽やかな空間を考えていました。バックヤードこそ居心地よく、イメージどおりの部屋になりました。モノが多かったので収納を揃えてすっきりさせ、スタッフルームとトーンを繋げて狭さを感じにくくしています。
今回、ご家族にとっては、思い出がつまった大切な場所を壊すことでもありましたが、患者さんはもちろん、医師やスタッフにとって心地よい環境を常に考えていらっしゃったことが印象的です。こちらの場所で、より一層患者さんの力になってくださることを願っています。
Owner’s Voice
毎日心地よい空間で仕事が出来ております。特にブラインドのデザインが気に入っており、1日を通して窓の表情を楽しんで使っております。先生方も、自分のデスクで集中して業務ができ、より働きやすくなったと話しております。
色々と無理難題を言い菅原さんを困らせたかもしれませんが、結果大満足で、菅原さんにやっていただけて良かったです。ありがとうございました。
Data
工期/約4週間
施工/株式会社エス・ツー
撮影/勝又義人