ピート・ヘイン・イークが創り出すオランダ流カッコイイ

スクラップ木材や工場廃棄物などを利用してアーティスティックな家具や雑貨を創り出している、オランダ人デザイナー Piet Hein Eek(ピート・ヘイン・イーク)さん。

彼がオーナーを務めるレストラン「RESTAURANT VAN PIET HEIN EEK」が、オランダ南部のEindhoven(アイントホーフェン)という街にあります。

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このレストランは、もとはオランダの電気機器メーカーPhilipsのテレビ工場を改装した建物で、店内のテーブルやチェア、照明器具などにはPiet Hein Eekの製品が使われています。

インテリアはかつての工場らしい高い天井と、空調代わりに大きくとられた窓がいい雰囲気を創り出していて、置かれている古びた味わいのある家具が、我が場所と言わんばかりに調和しています。一度は役目を終えた建物やモノですが、その歴史こそがこの居心地に欠かせない要素になっています。

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ペットボトルを利用した照明器具

隣にはショップやギャラリーがあり、併設された工房もガラス越しに見ることができます。

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商品はウィットに富んだものばかり。廃材をばらしたり切断して、それぞれがもつ形状や状態といった特徴を新たに構築することで二つとないものが創り出されます。同じ材料が入ってくる訳ではないので、手間と時間のかかる作業です。工房ではまさにスクラップウッドが1枚1枚カットされる様子が見れ、製品というよりアートに近いのではと思えてきます。価格はイタリア高級家具と変わらないくらいで正直驚きますが、アイディアと技術と時間がそれを納得させてくれます。

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重ねられた様がまた面白い

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工房で働く皆さんは笑顔で楽しそう。時々こちらに気づいて手を振ってくれます。人も製品も、まさに自由の国、オランダらしい。

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ガラス越しに見える工房

オランダは自由で寛容な国と言われますが、それは暮らすようになって本当にわかってきました。明確にわかる例として、同性婚や尊厳死を認める法律があるように、働き方や学校教育にもさまざまな自由が認められ、すべての人にやりたいことができる環境をつくろうとしている国だということです。その革新的な考え方にはしばしば驚き、精神的成熟さには尊敬を感じます。

オランダはデザインの国とも言われますが、さまざまな価値や考えを受け入れようとする国だからこそ、新たなデザインは生まれてくるのではないかと思います。そして、Piet Hein Eekの製品もまさにそう。

私が初めてPiet Hein Eekの家具を見たのは5年ほど前だったか、アムステルダムにあるインテリアショップThe Frozen Fountainにあった、スクラップウッドのコーヒーテーブルでした。

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スクラップウッドコーヒーテーブル

実はその時の感想は、美しいとかカッコイイではなく、なんというか一癖も二癖もあって、他のダッチデザインもそうですが、私にはすんなりと受け入れがたいものでした。それが、オランダ生活でオランダを知ることによって別な見方がうまれてきたのかなと思います。

ちょっと大きなテーマになりますが、さまざまな個性を認める社会のなかで、オランダ人は幸せの基準もまた何かとの比較でなく、個人それぞれ何が幸せなのか、カッコイイ生き方なのかという価値観を持っているように思います。

廃材から創り出されるPiet Hein Eekの製品は、今のサスティナブルという時流にあって賞賛されるのはもちろんですが、それだけでなく、素材から面白さを見出してアーティスティックにまでしてしまう、そして高級家具と同じ価値を与えるという、そんなところにオランダ流カッコイイをとてもとても感じます。

RESTAURANT VAN PIET HEIN EEK
Halvemaanstraat 30
5651 BP Eindhoven

https://pietheineek.nl/

日本ではCIBONEで購入できます。