不便さも慣れていくものではありますが

オランダでの生活も6年目に入り、今年初めにすぐ近くのマンションへ引っ越しました。環境は気に入っていたのですが、住まいの使い勝手の悪さにだんだんと不満が積もったためです。

以前の家は戦後に建てられた新興住宅ということで、築70年くらいの建物でした。オランダには17世紀頃の建物も今なお使われているほど古い建物が残っていて、築70年であればさほど古いというわけではありません。

家の内部はリフォームされて新しいのですが、使い勝手の悪かったことの一つが、キッチンの位置。ダイニングとキッチンが、間にバスルームを挟み、家の端と端に離れているという間取りでした。

オランダでも今はダイニングキッチンが主流ですが、戦後といえば、もちろん日本にはダイニングキッチンなど当然なく、オランダでも当時はこういうレイアウトが普通だったそうです。リフォームの際も配管の関係でキッチンの位置はそのままにされたようです。

そんなわけで身をもって当時を体験させていただきましたが・・・

どうしようもなく動線が悪いです! 

家の中を歩く歩く・・・(笑)キッチンからダイニングまでいったい何歩か数えたら17歩ありました!

たかが17歩ですが、効率の悪いことといったらないんです。料理を運ぶだけでなく、お茶を飲む、冷蔵庫のものをとるなど、何かと行ったり来たりが多く、そのたびに17歩の往復は本当に面倒・・・。

そんなわけで、これも引越しの一つの要因になり、新居は築20年くらいと、オランダでは新しい部類の建物になり、間取りもLDKスタイルになりました。

ダイニングの隣にキッチンがあるなんて今では当たり前ですが、作業効率はもちろん、料理しながらくつろぎの時間を共有できること、キッチンが寒くないことなど、いい距離感はいい時間に変わりました。LDKって画期的だったんだなぁとつくづく実感しています。

ただ、オランダ生活も5年経つと、あの往復にも慣れてきて、それありきで生活はできてしまうんですね。慣れってすごいです。

今回引っ越しを機にあらためてその不便さに気づくことになったのですが、家は長年住み慣れてしまうと、いかに不便さや不具合に気づきにくいものかと思います。

例えば、家事動線が悪いなぁとか、家具のバランスが悪いなぁとか、なんとなくわかってはいたけれど、問題とまで思っていないようなこと、きっとあると思います。

快適な暮らし、素敵な暮らしを考えるとき、自分の家を客観的に見ることは大事です。

そんな役割として私のような職業があったりするわけですが、たまにお友達の家を見せてもらうとか、逆に友人を招いて他人目線で見てもらうものいいですし、無意識になっている「おかしな点」に気づく機会があるとよいのではと思います。